ウマゲノム版重賞解析読本 古馬・芝編

著者の今井雅宏氏は毎週、競馬予想GPのサイト内にて「重賞ステップ解析」という、

前走〇〇というレースを使った馬の、連対馬はどうか、3~5着馬は、6着以下は・・・その中で例えば前走5番手以内で競馬した馬はどういう傾向があり、それが何故こういうデータになりやすいのか?その理由 等々

 

前走(あるいは2~3走前にも遡って)どういうステップを踏んだ馬が、当該レースでどういう傾向にあるのかという現象を、事細かに分析する 独自のコーナーを持っているのですが、

本書は、そのコーナーで分析されている内容を1冊の本にまとめた という内容となっています!

 

 

内容

「古馬・芝編」ということで、ダートと2歳3歳を除いた重賞レース(レース直前ということで、おまけで秋華賞菊花賞等の5レースも特別収録)の、重賞解析が掲載されています!

 

GⅠとGⅡは1レースにつき4P、GⅢは2Pというページ量で、データ表、過去数年の結果もありながら、解説文と共に、

各重賞のレースの質、ステップ(ローテ)ごとにどのような傾向があるかを中心に解説、おまけデータとして「性齢」「枠順」「馬体重」「種牡馬」ではどのような傾向にあるのかまで、1重賞ごとに徹底的にその傾向を探っていきます!

 

一般的なデータの見方としましては、例えば高松宮記念の前走オーシャンS組は、24頭いて3着以内の馬は6頭、単勝回収率15.4%、複勝回収率72.9%・・・といった部分だけ終始するようなところがありますが、

こちらの本では、その中にさらに「前走2番人気以内」「前走4角9番手以内」といった、様々な条件を加えてあげることによって、そのデータの持つ本質に迫り、

さらに「何故こういう傾向になるのか」という部分までをも、理路整然と解説するという、著者の洞察力・研究力の高さが光る内容となっています!

 

 

一口にデータといっても様々で、

例えばルメール騎手はここ数年、1年通算でも3着以内率は5割を超えており、むしろルメール騎手騎乗馬は消す方が勇気が要る・ヒモには黙って押さえておけというレベルの騎手となっていますが、

「〇〇厩舎の騎乗馬の時は(0,1,0,10)と相性が悪い!」「東京〇〇00mでは(1,0,2,18)で、このコースは不得意!」といったデータもお見かけする機会もあります。

 

しかしルメール騎手の全騎乗の中で、飛びぬけて良いデータになっている部分と、悪いデータとなっている「ブレ」が存在するのは当たり前のことであって、そこを抜き出して結論を急いでいる、良く分からないデータというのも存在します。

明確に「何故そうなるのか」が説明できない限り、意味のないデータですし、ただ単に騎乗馬の質が悪い方に偏っていただけかもしれません。 回数を重ねて行けば(15,20,15,50)というように、結局5割付近にまで収束してしまうのではないでしょうか。 そうならないのであれば、その説明が必要となってきます。

 

このレースは「ディープインパクト産駒が強い」「4歳馬が好成績」「前走〇〇組がよく来てる」といった、所謂表面的なデータというのは、そこら中で見る機会も多い中、

ここまでデータの本質を理解しながら、緻密にデータを取り、掘り下げて、データから導き出される事実というものに辿り着く、

結論もそうですが、そのプロセスも、大変興味深い内容となっていました!

 

 

まとめ

私は毎週今井雅宏氏のこちらのコーナーを読んでいて、レースごとのステップ解析を、ワード等を使ってパソコンでまとめたりしていたのですが、完璧にはまとめきれておらず、

その補完として、また解説年によって解説内容(触れる部分)も変わってくるので、こちらの1冊の書籍としてまとめられた本も、大いに活用できそうでした!

 

 

私が今井氏の理論に感銘を受けた理由の1つとしまして、「データの見方が群を抜いて凄い、この人は現象学のプロフェッショナルだ!」と思ったところがあり、

「そのデータからどういう結論が導き出せるのかが分からないとだよ」と、こう考えるのか、こう読むのか、こんなところも見るのか! と、今井氏の考え方・説明内容に衝撃を受けた事を、レビューを書いていて思い出しました。

 

本書を見れば、レースごとに持つ特色・傾向がイメージしやすくなり、よりレースの本質に迫れるのではないかと思いました!

 

データが持つ本来の意味、本物のデータの見方を教示してくれるような、著者の思考に触れるだけでも十分に価値があると思う、素晴らしいデータ解析読本となっていました!

 

 

 

最終更新日時 : 2024年09月15日 15時53分

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