競馬ファンの皆さんはとっくにお気付きのことと思いますが、
夏以降からそんな兆候もあり、秋のGⅠ戦線でもデムーロ騎手は有力馬に乗る機会が激減し、完全に干されていると話題になっているようでした。
私も気になって何故このような事態となっているのか、色々な方面から調べてみることにしました。
ここ最近のデムーロ騎手
今年19年の春には、NHKマイルCやオークスといったGⅠは制してはいるものの、特にここ最近、秋のGⅠ戦線は以前までのデムーロ騎手の馬質とは思えない程、有力馬に乗る機会というのが激減しているようでした。
スプリンターズSは騎乗馬無し、秋華賞は7番人気の馬、菊花賞は13番人気の馬、
天皇賞秋ではスワーヴリチャードというお手馬がいるにも関わらず、降ろさせた形でランフォザローゼス(13番人気/16頭中)に騎乗、エリザベス女王杯は春にオークスを勝ったラヴズオンリーユーに引き続き騎乗となりましたが3着
マイルCSは騎乗なし、ジャパンカップは13番人気の馬、チャンピオンズCは9番人気の馬と・・・
これまでのデムーロ騎手の実績を考えると、露骨なまでに人気薄の馬ばかりに乗っていることが分かります。
では何故、デムーロ騎手は突然これほどまでに馬質が悪くなったのでしょうか? その原因を探ってみたいと思います。
馬に負担を掛ける騎手は干させる?
実は以前からデムーロ騎手が乗る有力馬は、よく故障しているというのは、競馬ファンの間でも話題に上がっているようでした。
2015年~2018年の4年間の春のクラシックで、デムーロ騎手のお手馬だった
ドゥラメンテ、ジュエラー、リオンディーズ、アドマイヤミヤビ、アドミラブル、キタノコマンドール
と毎年故障しており、8頭中6頭という驚異的な故障率であることから、これでは生産者側の立場からすると、
「せっかくの有力馬だったのにもう引退させなければいけない」「また今年もデムーロが乗ったら故障した」と、年々心証が悪くなって行ったのは間違いなくあったことでしょう。
確かに今思えば、デムーロ騎手はGⅠをたくさん勝っているイメージはありますが、デビューからずっとタッグを組んでいる有力なお手馬というのは、あまり印象がないというか思い浮かばないところがあります。
ルメール騎手の方はどちらかというとスマートに乗るタイプなので、上手い上に故障も少ないということで、馬場がより高速化した現代、今は故障させる心配の少ないジョッキーの需要が高まっているのかもしれません。
性格面
デムーロ騎手と言えば、ゴールする時の「飛行機」ポーズや、皐月賞で田中勝春騎手の頭を叩くなど、競馬ファンの視点から見ればお調子者で豪快な性格のイメージがあります。
ところが競馬関係者からしてみると、あの飛行機ポーズも何回もやめろと注意しているという話も聞いたり、頭を叩いた理由については様々憶測が飛び交っているものの、
本人としては感情を爆発させているだけなのかもしれませんが、日本の競馬に対するリスペクトが足りないと、日本の関係者から思われても仕方のないところはあるでしょう。
そういった性格もあってか、デムーロ騎手のレース中やレース後の言動というのもニュースになったりすることもあり、ここ最近でも、
・17年皐月賞でアルアイン騎乗の松山騎手とひと悶着
・17年小倉の未勝利戦で川田騎手にエルボー
・17年有馬記念スワーヴリチャードの斜行で蛯名騎手が激怒
等、原因はどちらにあるかといった部分はともかくとして、このようなニュースを見ると、デムーロ騎手はジョッキー達の間でもあまり評判は良くないのではないか と、傍から見ると思ってしまうところがあります。
位置取りショック
Mの法則では、馬を今回のレースで前走と違う位置取りで走らせることを「位置取りショック」と呼び、距離やペースによって効果は様々ありますが、これを上手く使えば馬の着順を上に持って行くことも可能となります。
外国人ジョッキーが上手いと言われる所以の1つは、実はここにあり、今回のレースで馬をどういう位置取りで走らせればよいかというのを日本人ジョッキーよりも深く理解しています。
一時期大阪杯のスワーヴリチャードや、ダービーのレイデオロ等、道中でポジションを押し上げてそのまま押し切るようなレースが横行していた時がありました。
これは私の想像ですが、おそらくあのあたりでルメール騎手とデムーロ騎手は、上の人間から「あれはあんまりやるな」と注意されていたのではないかと思っています。
ここ最近は、ああいったレースはあまり見る機会が減ったように思います。
つまり例えば、前哨戦で先行して、本番で差しに回るみたいな位置取りショックや、間に合わないと判断して道中ポジションを上げたりする派手な騎乗ばかりやっていると、競馬ファンに馬券のヒントを与えかねない ということで、再三注意されていると私は推察しています。
それに対してルメール騎手はおそらく「ハイ、ワカリマシタ」と、デムーロ騎手に比べて温和な性格なので、素直に従っているのかと思いますが、
デムーロ騎手は納得が行かず「馬ヲ勝タセルノガ、私ノ仕事」と主張し、上の人間と対立していそうなシーンというのは、想像に難しくはありません。
海外のトップジョッキー達の台頭
ここ数年では、特に秋のGⅠ戦線になると海外のトップジョッキー達も来日し、有力馬を外国ジョッキーが独占しているようなレースというのも、珍しくはなくなりました。
GⅠは物理的に18頭しか出れない訳ですから、誰かが上位人気馬に乗ると、必然的に優先度の低いジョッキー達は人気薄に乗るということになります。
特に今年はスミヨン・ムーア・デットーリ・マーフィー・ビュイックといった海外のトップジョッキーもこぞって来日しているということので、彼らに優先的に有力馬に乗ってもらっているというのは仕方ない面もあるかと思いますが、
デムーロ騎手と違ってルメール騎手は、やや馬質は落ちてはいるものの、概ね例年と変わらないくらいに有力馬に乗っているということで、やはりデムーロ騎手の馬質が著しく落ちたという点が目立っていると思います。
まとめ
しばらくはデムーロ・ルメールの二強時代が続きましたが、
スミヨン・ムーア・レーンといった一流外国人ジョッキーの来日機会も多くなり、川田騎手をはじめ日本人ジョッキーもまた少し盛り返しを見せているということで、これまでの騎手の勢力構造が少し変わって来た印象があります。
デムーロ騎手は確かに結果を残せるトップジョッキーであり、人間関係は分かりませんが「こいつは仕事ができるから」と、これまではそれで通って来たところもあったのでしょう。
しかしここに来て競馬関係者の不満が爆発し、「ミルコはもういいや」ということになった、我々競馬ファンが知り得ない、何か確執のようなものが出来る事件・事情というものが、あったの「かも」しれません。
競馬ファンは馬券を買うだけなので分かりませんが、競馬関係者も1つの会社のようなもので、そこには様々な人間関係が、実際にはあることと思います。
「お前に馬を回さなくすることなんて、造作もないことなんだぞ」と、デムーロ騎手自身あるいは他の騎手達にも、一時的に見せしめているだけなのか、それとももう復活の道は無いのでしょうか
私の想像も多分に入ってはおりますが、上記に挙げた理由というのも、少なからず関係はあるのではないかと思います。
「何故デムーロが干されているのか」と、ほとんどの競馬ファンが気付いているレベルで、多くの競馬ファンが気になっているにも関わらず、
「干された理由が謎のまま」「まとめサイト以外の競馬メディアはこの件について一切触れない」というのは、よくよく考えたら相当おかしな状況です。
特にデムーロ騎手を個人的に応援しているという訳でもないのですが、あまりにも急激に馬質が悪くなったのを見て不憫に思い、デムーロ騎手の自業自得であったら仕方ないのかもしれませんが、またデムーロルメールのワンツー決着が見れる日を期待して待ちたいと思います。