超絶レコードVのノームコア骨折に見る、故障と高速馬場

ノームコア骨折 という記事を見て「あちゃー、やっちゃったか」と思った競馬ファンの方も少なくなかったことでしょう。

 

レコード決着と言えば、次のレースは反動が出る、故障に繋がる といった認識は、そこそこ競馬に詳しければ割と浸透している知識のように思い、そういった競馬ファン層の方々にとってみれば、このニュースは驚くべきものではなかったことのように思います。

 

私なりにこれまで競馬を見て感じてきた、競争馬の「激走」と「故障」について、振り返ってみたいと思います。

 

 

そもそも故障はどんな時に起きやすいか

私も競馬を始めた頃はそうでしたが、おそらくダビスタあたりのゲームの影響もあったでしょうか、

馬が故障するのは「その馬の体質が弱かった」「運が悪かった」こんなイメージを持っていました。

 

しかし競馬というものを実際に見ていく内に「自分の限界ギリギリの所で運動し続けない限り、そうそう故障って起きないよな」という、

良く考えてみると極当たり前の事が、分かってきたところがあります。

 

例えば同じプロ野球選手が、「1軍のペナントで1年間ローテーションを守る」のと「草野球で1年間同じ試合数に出る」のと、どちらが体に負担が掛かり、故障のリスクが高いか、これは前者の方がリスクが高いということは想像に難くはありません。

 

私自身もクラブでの野球の経験があり、遊びの野球でピッチャーをやった時に思ったのですが、「これならいくらでも投げ続けられるわ。9回完投とか楽勝なのでは?何でプロ野球の投手は100球ちょっとしか投げられないんだろう」等と思ったくらいで、

今思えばかなり見当違いなw痛いことを思っていたな~ と述懐しているのですが、それくらい「プレイレベルによる体への負担の違い」というものは、肌で実感しているところがあります。 毎回コントロールに気を使いながら150キロ前後の球を、変化球を織り交ぜながら本気で投げるのと、草野球のピッチャーを務めるのとでは、天と地ほどの差があります。

 

 

馬に負担が掛かったレースでの故障例

もちろん馬にかなり負担が掛かったレースだからといって、必ず故障するとは限りませんが、「やはり馬に負担が掛かったレース程故障している」というのは、間違いなくあると思います。

もしそうでなければ物理学的におかしなことになってしまいますし、故障は競馬の神様がルーレットか何かで決めている等という、オカルトレベルの話に発展しかねません。

 

・サイレンススズカ 天皇賞・秋(伝説の毎日王冠の後の)

・ダノンシャンティ NHKマイルC

・ドゥラメンテ 日本ダービー

・メジャーエンブレム NHKマイルC

 

パっと思い付いたのはこの辺りで、

故障のタイミングというのも馬によって様々で、もちろんレース後に発覚することが多いのでしょうが、調教中に故障したり、その次のレースで反動が出たりする場合もあるようで、

そういえば07年宝塚記念の6着に負けたカワカミプリンセスも、Mの法則の今井氏が「牝馬であの馬場を早め先頭で、6着は相当強い内容だったよ」的な解説をしていて、その後調教中に故障したというケースもあり、

他にもレコードではありませんが、18年天皇賞・春のレインボーラインも激戦になって、接戦で頑張り過ぎた為かレース直後に様子がおかしいことに気が付き、そのまま引退した というのも、ほんの1年前の出来事です。

 

もちろん個々の馬の体質等との兼ね合いもありますが、やはり「凄い頑張っちゃったな~」というレースをした場合の方が、より故障のリスクは高いというのは、間違いなくあることでしょう。

 

 

アーモンドアイは何故ジャパンカップの後故障しなかったか

それならばジャパンカップのスーパーレコードで、アーモンドアイが故障しなかったのはどういう事なのか と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、

もちろんレコードタイムで勝った全ての馬が故障する訳ではありません。

 

 

19年ヴィクトリアマイルのノームコアと違う点は、

アーモンドアイは1.4倍の断然人気の通り、元々能力が抜けていた上に、鮮度も高く、古馬より4キロも軽く、内枠有利なバイアスで、能力全開の激戦で出したタイムではない ということで、 

アーモンドアイのレース振りを見ても分かるように、逃げたキセキをヘロヘロになりながら交わしたようには到底見えず、展開も向いたこともありますが、同馬にとってそこまでの激戦では無かったという点が大きいと思います。 そしてこのタイムは、他の出走馬達のタイムと合わせて見れば分かる通り、馬場によるところが大きかったです。

 

 

プロ野球でも、糸井選手が硬い人口芝より、負担の少ない天然芝にこだわり、阪神へ移籍

ちなみにプロ野球の話になりますが、

阪神に移籍した糸井嘉男選手も、体への負担が大きいことから、硬い人口芝より、柔らかくて負担の少ない、天然芝でのプレーを希望していたようです。

 

プロ野球界では、「選手への負担が大きいけど運営コストの低い人工芝」「選手への負担は少ないけど運営コストの高い天然芝」というのは、もはや常識と言うレベルで浸透しているようです。

>https://www.sanspo.com/baseball/news/20161031/tig16103105030001-n1.html

 

 

まとめ

よく高速馬場になったからといって、故障率は前と変わっていないから関係ない といった論調も見受けられますが、

データとしては、このような傾向になるのは必然のように思います。 何故なら近代競馬はスローペースの競馬ばかりしているのですから

それ以外にも、昔は秋4戦が当たり前だったのが、今では2~3戦しかしないのが当たり前になっていたり、なるべく間隔を開けて出走したりするケースは圧倒的に増えて来ていたり、馬のケアの技術自体も年々向上しているはずだったり、そういう部分の努力も、もちろん考慮してあげないといけません。

むしろそういう努力をして以前と変わっていないということは、そういうことなのでしょう。

 

高速馬場とは違った視点で、馬の負担という意味では「レース自体の激しさ」も重要なファクターであり、

スローペースの競馬>>>>>高速馬場

緩和されているということが言えるのかなとも思います。 プロ野球で言えば、例え人工芝でも毎試合流す程度にしかプレーしていないのであれば故障のリスクも下がりますし、当然スローペースの競馬が増えれば故障も少なくなることでしょう。

 

 

従って高速馬場で珍しくハイペースにもなった、ヴィクトリアマイルのノームコアが故障したのは偶然ではない、と考える方が自然なのではないかと思い、

アーモンドアイと違って、ノームコアの前走はGⅢの中山牝馬Sを7着の馬なので、ヴィクトリアマイルが同馬にとって能力の限界付近で走ったレースだったということは、想像に難くありません。

 

18年ジャパンカップのレコードタイムが強烈過ぎたのも影響してでしょうか、他の馬達のタイムも速くしてあげないと辻褄が合わないからでしょうか、分かりませんが、

これまでのレースのタイムは一体なんだったのか という程、時計が出てしまう馬場というのは、歴代の名馬達の事を考えるとあまりやらない方が良いのでは と、個人的には思ったりもします。

 

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最終更新日時 : 2020年06月11日 03時02分

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